第121回 泥酔まつ the movie-進撃のアイツそして謎解きは…の後で-1

※このお話の本編はこちら。

http://togetter.com/li/404085

  • 午前4時。都内の路上。-


イェソンは静かに手を上げると、1台のタクシーが止まった。
小さめのスーツケースをトランクに放り込むと、
シートに背を埋めて呟いた。
「成田まで…。」
まだ残る手のひらの温もり。
この涙も、捨てきれなかった未練も、早く熱を無くして冷めてしまえばいい。
窓の外に赤く光る街路灯に目をやった。


高速に入る手前の信号。
赤信号で車が止まった。

(ダンダンダンダン!!!!)

「えっ!!」
運転手がビクリと身を弾いて窓の外を見た。

「ねーーー!!!おじさーーーーん!!成田までお願いしますーーーーーー!!!!」

これは、きっと夢だろう。
そう、寝ずにここへきたから、俺は眠ってしまったんだ。


「おじさーーーーーーぁあああん!!!なりたーーーー!!!!!あ♡おっぱ♡♡♡」

何かがこっちを指差している。
どうやらこれは夢じゃない。

(ダンダンダンダン!!!!)

よく見ると、黒髪の女性がこっちを指差しジェスチャーをしている。

この?扉を……開けろと?
俺はあっけにとられてロックを外した。

すると扉は威勢良く開き、
女性は満開の笑顔で両手を広げた。

「えっと…あの…。」
「おっぱーーー!!!!会いたかったー!!はい失礼しますよっと!!!」

女性は勢いよく俺の膝の上に乗った。

「あれ?なんかひょっくん変わったー。座り心地ちがーう!!」
「あの…ひょっくんってあの…え…?」
「あ、おじさーん!!成田!成田まで行ってー!」


(逆らっちゃいけない)
運転手は何かを察知したのか、そのまま頷き車を発進させた…。

(でひょっくんって誰だ…)


written by iHatenaSync