第122回 泥酔まつ the movie-進撃のアイツそして謎解きは…の後で-2
運転手は時折バックミラー越しにこちらを見る。
そりゃそうだろう。
深夜、峠で黒髪の女を乗せたのと同じ衝撃なはずだから。
夜明け前、都内で乗せた男の膝に突然相乗りしてきた黒髪の女が膝の上に乗ってるんだから。
「あの着きました…。」
程なくして車は成田の出発カウンターに着いた。
「な…着いたぞ?
「ありがとー!ひょっくん…に似てはないけどまぁいいや!おーし行くぞ!!」
俺はとにかくタクシー代を払い、何故か運転手に謝って車を降りた。
ほどなくチェックインが始まった。
俺はまだ人気のないアイランドのビジネスクラスカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ。チェックインですね。行き先は…」
「ボストn
「仁川!!ソウルまで!!!!!」
ついさっき消えた彼女が俺の目の前でパスポートを出している。
「…君は韓国へ?」
何故か行き掛かり上聞いてしまった。
「うー頭痛い…っ酒抜けてきた…うん…いつでも行けるようにパスポートは持ってるのほれ!」
「……若いのに、凄いな。ここビジネスクラスだぞ?」
「ほえ?それ高いの!?!?っていうかおいくら?」
「…チケット…持ってないのか」
彼女は子犬の様に微笑んだ。
「どしても行きたいの。…行かなきゃいけないんだよ。その…彼の為に…。」
彼女は僅かに頬を赤く染めた。
俺はおもむろにエアラインのカードを取り出した。
「…すみません。このカードのマイレージ、ソウル行き片道程度ありますか?」
「…おじさn
「おじさんじゃない兄さんだ。」
「お客様、充分にございますが。」
「じゃあこの彼女にソウル行きの便を。」
「!!!いいの!?」
「どうせ持ってても、使わないし。」
この数年後、イェソンはタイへ一人で旅に出るとき、この時使ったマイレージを置いておけば良かったと後悔するのであった。
彼女は目に涙を溜めて微笑んだ。
「ありがとう…これで彼に会える…!」
「想える人がいるって幸せ、大切にしろよ。」
俺はチェックインを済ませると、
「じゃあな…。」
彼女に背を向け歩き出そうとしt
「ちょっと待った!!」
彼女は途端に俺の腕を掴んだ。
「何があったか訳ありそうだからここで話ていきなよ!聞いてあげるから!」
「いやその別に今話さなk
「ダメ!!素直に言ってごらんほら楽になるの!あ、あそこのカフェ開いた♡よし朝ごはん食べに行こうか!」
「いやあの機内食が出るからそれh
「ダーメ!!ちゃんと食べなきゃだーめ!!元気つけてほら!!」
なんだか分からないが俺は朝定食を目の前に彼女に身の上話をした。
「おにーさん色々あったねぇ。でも大丈夫!また新しい出会いあるから!」
「まぁそういう事で俺は今からしばらくボストン暮らしだ…この時計と一緒に。」
「あ!すみませーん!アイスティーお代わりー!」
「…聞いてたか?」
「このパンケーキめっちゃ美味しい♡ん?話?うん大丈夫!でね私も聞いて!」
どうやら彼女の彼はヒョクチェという韓国人らしい。
「1年前に出会ったんだけど。でもまた会えるかわかんなくて。。」
「同じ東大門にいるんだろ?」
「…あれから連絡ないからなぁ…。」
アイスティーをかき混ぜる手を止めて彼女は悲しい目になった。
「その片道切符大事にしろよ。そこまで好きなら信じてやれよ。」
「うん。ありがと。。ぐしゅ。。やだもう。。泣けるよおじさn
「おじさんじゃない兄さんだ。」
そして俺たちは別れ、
俺は一人ボストンへ向かった。
彼女は、その後どうなったのだろう。
その続きは、次の回で。
解説も。
そして数年後。
彼女は、
本当に彼女のモデルになったあの黒髪の女性は、
この夏、海を越え、
夢を叶える為に、
たった一人、
ソウルへと旅立つ。
片道切符をちゃんと買って。
【祝】おまつすぁんの旅立ちへ捧げる。
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ヒチョル:「っていうVCR作って今度のスパショで使ったららなんぼか印税入るかな?」
作者:「ゼニ数えてる暇あったら練習せぇよほんま(呆)もうじきカムバックやろ。」
written by iHatenaSync